後遺障害の立証にMRIは必要か?

戦略テクニック

交通事故で後遺障害の認定を得るには、残存する症状が他覚的に証明されている事が必要とされています。この他覚的に証明されている事を自賠責では他覚的所見と言います。

そして、ここでの他覚的とは、自覚症状だけではなく、第三者が客観的に見てもその後遺障害の対象となる症状が残存していることがわかる医学的な根拠(客観的に症状を裏付けるもの)のことを言います。

殆どの場合ではレントゲン、CT、MRIがその他覚的所見として有効で、これらMRI等の画像所見は他覚所見の御三家といえます。

他覚的所見のMRI

ほぼ必ずと言っていいほど交通事故で受傷した部位にはレントゲンの撮影が行われます。

レントゲンは原則として骨を見る画像検査です(例外あり)。よって、軟部組織の状態、炎症、出血などについては、MRIで確認することになります。一部ではCTのほうが優れている場合もありますが、ここではMRIについて考えてみます。

後遺障害実務においてMRIの撮影については、ほとんどの専門家がおすすめすると思います。MRIでなければ立証できないとでも感じてしまうようなMRI主義かもしれません。しかし、自賠責(後遺障害を調査するところ)は、MRIだけを絶対視しているわけではありません。あえていえば自賠責は画像主義です。

つまり、自賠責が重視するものはMRIだけではなくレントゲンも含まれるということです。

MRIが必要といえるものでMRIを撮影していなくとも、レントゲンだけで8級程度であれば認定されます。実例なので、具体的な症例は避けますが、もしこの8級レベルで事故当初にMRIを撮影していたら等級は認定されなかったかもしれません。これは後遺障害4つのポイントの中でも触れていますが、行ってはいけないことの一つです。MRIを撮影することによって、症状との整合性が無くなってしまったり、医学的に交通事故との因果関係が否定できる状態になることが有ります。

MRIの撮影が必要なケース

治療上でMRIの撮影が必要な場合には医師からMRIの撮影が指示されます。しかし、そのMRIの撮影については、医師の”感覚”の問題でその可否が決まってしまいます。交通事故の「症状を他覚的に立証する」という問題は考慮されていません。あくまでも、その先生が治療上MRIを必要とするか必要としないかだけの判断です。

後遺障害でMRIが必要なケースは、レントゲンではっきりと異常が確認できないとき、MRIであればその症状の原因が確認できるかもしれない場合に限ります。MRIで何も異常が確認できないことが解っていながらも、むやみにやたらに撮影するものではありません。MRIを撮影するほど症状が強かったという説明はあまり有効ではありません。

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