鎖骨骨折

鎖骨骨折の治療法は2種類です。手術か固定(保存治療)となります。交通事故で鎖骨を骨折することは多いので、ここでは鎖骨骨折となった場合の後遺障害について簡単に説明します。
鎖骨の骨折

鎖骨骨折の治療方法

1、手術とは、キルシュナー鋼線を使用した鋼線締結法が一般的でプレートで固定する治療法もあります。この場合は、一般的に入院の必要はありません。リハビリを順調にこなせば予後も良好な場合が多いです。

そして、交通事故の後遺障害という事を考えると、手術をすると体幹骨の変形 第12級の5にはならないというのがあります。ただし、後遺障害の等級が絶対に取れないという事(非該当)ではありません。ただ、手術をすると、手術痕が残るがそれは後遺障害とならないというデメリットがあります。

2、固定(保存療法)とは、鎖骨バンドで2ヶ月程度の外固定を行いますが、バンドギプス固定が行われる事もあります。いずれも2ヶ月程度の 治療ですが、合併症として偽関節や髄液炎が稀に見られます。後遺障害の等級としては12級が見込めます。

スポーツ外傷などでも鎖骨骨折は多く、骨折として比較的メジャー部位ですが、鎖骨は、体と腕をつなぐ大切な骨です。上から見るとs字を描くように曲がっているのですが、最初のカーブ(肩から3分の1くらいのところ)が一番弱く折れやすい部位で、9割の鎖骨の骨折がこの部位です。しかしきちんと処置とリハビリを行えば回復も良好で、手術をしない場合でも骨癒合は良好に得られるものです。

手術にしても固定にしても、交通事故賠償を考える上では、ケースバイケースでリハビリが必要になる場合があります。

鎖骨骨折の後遺障害への戦略

鎖骨骨折で手術をした場合は、鎖骨の骨癒合が完璧な場合が多いので後遺障害となりません。認定が取れないとは言っても、第12級5号(長官骨の変形)にはならないだけで、後遺障害の等級が取れないという事ではありません。まずは14級、可能性は低いですが12級・10級場合によっては併合9級の可能性は残されています。

ただ、手術を行わない鎖骨骨折は、変形癒合の場合が多く、鎖骨骨折=後遺障害(12級の5)を基本と考えて、その上には併合11級が考えられます。むろん合併症として偽関節、髄液炎となった場合には、その治療経過によって7級となる可能性もあります。

鎖骨骨折の後遺障害の認定は手術をしたか、しないかで決まるのですか?」なんて質問をされた事がありますが、どこでこのような誤解が発生してしまったのでしょうか。鎖骨の骨折で手術をして骨の変形癒合が見られない場合には、12級の5ではなく、前もって骨の変形にこだわらない違う等級にアプローチを変える必要があります。そして、症状が残存すれば等級認定に至ります。

逆に言えば、鎖骨骨折の後に手術をしないでいても、後遺障害が認定されず「非該当」という通知が来ることがあります。そこで、改めて異議申し立てを行って12級を取りに行くことになりますが、できれば初回の申請で適正な等級を取りたいものです。

また、鎖骨の裏には、重要な血管や神経の束があります。たとえば、頸椎の5~8番、胸椎の1番の神経などは鎖骨を通っていますが、これらを傷つけることが稀に発生します。12級の5の場合でも、合わせ技で等級が上がる可能性もありますので油断は大敵です。(鎖骨骨折でも後遺障害非該当は実際に存在しているので油断できません)

なお、鎖骨骨折で腕や手に痺れや感覚麻痺が発生した場合は、腕神経叢の損傷を疑いその特定のため電気生理学的検査や神経学的検査を行い治療や後遺障害での立証に尽くすことになります。

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  1. チョコマリン より:

    鎖骨を骨折してから3ヶ月ほど経ち、大分骨もくっついてきたのですが、折れた辺りの骨がかなり膨らんでいて気になります。医師は多分このままの型になるだろうと言うのですが、これは後遺症認定されますか?また、後遺症認定はどこで出してくれるのですか?

  2. […] 鎖骨骨折の後遺症についてより詳しい事はこちらをご覧ください→鎖骨骨折 […]

  3. 彩花 より:

    去年の9月に中三の息子が左鎖骨骨折しました。この春に高校生になり心電図で左高電位と診断され、管理不要ときましたが、骨折と関係ありますか?

    • 戦略法務 より:

      誘導点と鎖骨骨折が重なり何かの拍子で結果が狂ったという可能性もゼロではないと思います。骨折との直接の因果関係は、一般的な医学からすれば、無いと思われます。

  4. クラマタ より:

    昨年1月にバイクで業務中に自損事故で右鎖骨を骨折しました。最初、クラビクルバンドで固定していましたが、右腕が腫れてきて指先も動かなくなってきたのに、検査もなく治療方針も変わらないので、別の病院を紹介していただきました。検査の結果、血栓もみられるので入院を勧められ検査しましたが、骨折部の鎖骨下静脈が圧迫され流れが悪くなっているとのことでした。腕神経にも影響しているとの見解で3月に手術をして骨折部を整復しプレートにより固定しました。退院後、4月の検査でプレートのスクリューが抜けてきていることがわかり、5月に抜釘手術のため再入院しました。その後は外来で整形外科と心臓血管外科に定期的に通院していますが、現在、骨折部はまだ癒合しておりません。裸になると上のほうの骨が出っ張っていて盛り上がっているのがわかる状態です。整形外科主治医によると骨と骨の間が白くモヤモヤとなってきているようだ、との見解です。現在も心臓血管外科主治医の指示でワルファリンを毎日服用して血液の流れをよくしています。手、腕の腫張や痺れはなくなりましたが、まだ完全には上まで上げられない状態です。また、骨折部の皮膚が衣類に触れるとチクチクして痛く、痺れがあるようです。
    7月で事故から1年半になりますが、労災ではそろそろ症状固定の時期のようです。
    このような状態で後遺障害の可能性はあるのでしょうか。また、その場合何級の可能性があるのでしょうか。 よろしくお願いします。

    • 戦略法務 より:

      後遺障害には十二分に該当するものと思われます。

      腕が上がらないとのことなので、この角度によっても最終的な等級は変わってきますが、後遺障害の等級は12級~で、きちんと申請ができて11級・9級という等級が予想されます。

      ただ、交通事故でいえば、症状固定はまだ早いようにも思えます。

  5. JK より:

    自損事故で、昨年7月に鎖骨骨折しました。現在も通院中で、先月末のレントゲンでまだ完全に融合していない。
    と言われました。後遺障害の認定を考えた方が良いのでしょうか?

    • 戦略法務 より:

      後遺障害の認定を考えるべきだと思われます。ただし、自損事故なので自賠責は使えませんので被害者請求はできません。

  6. クライシ タダシ より:

    交通事故で鎖骨骨折をしました。手術をしてプレートで固定し3ヶ月経過しましたが仮骨も出来ておらず、主治医からこのまま治らないかもと言われていて、左肩側は重い物は持てなくまだ左側に寝返りも出来ません。後遺障害の認定は取れるのでしょうか。

    • 戦略法務 より:

      未だ3か月しか経過していないので、等級に該当するかわかりません。半年・1年が経過して等級の見込みが判断できてくると思われます。