脊髄の後遺障害

脊髄の損傷(第2腰椎以下のせき柱内の馬尾神経が損傷された場合も含みます)による後遺障害は下記の通りです。

外傷などによって脊髄が損傷されて、対麻痺が生じた場合は、広範囲にわたる感覚障害や尿路障害(神経因性膀胱障害)などの腹部臓器の障害が普通は認められます。また、脊柱の変形や運動障害(以下[脊柱の変形等])が認められることも多いです。

脊柱損傷された場合には複雑な諸症状が現れる場合が多いが、脊柱の損傷が生じた場合の障害等級の認定は、原則、脳の身体性機能障害と同様に身体的所見やMRI、CT等によって裏付けることのできる麻痺の範囲と程度によって後遺障害等級を認定します。

ただし、脊柱の損傷に伴う胸腹部臓器の障害や脊柱の障害によるそれらの後遺障害の総合的評価によって等級を認定することになります。

脊柱の損傷による後遺障害が第3級以上に該当する時は、介護の要否や程度を踏まえて設定することになります。

脊柱の損傷による後遺症は、下記の7段階に区分して等級を認定します。

1.「脊髄症状のため、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、常に他人の介護を要するもの」は、第1級の3に該当します。下記のものが後遺障害に該当します。

a 高度の四肢麻痺が認められるもの
b 高度の対麻痺が認められるもの
c 中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
d 中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの

2.「脊髄症状のため、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、随時介護を要するもの」は第2級の2の2に該当します。下記のものが該当します。

a 中等度の四肢麻痺が認められるもの
b 軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの
c 中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの

3.「生命維持に必要な身の回りの処理の動作は可能であるが、脊髄症状のために労務に服することができないもの」は第3級の3に該当します。下記のものが後遺障害に該当します。

a 軽度の四肢麻痺が認められるもの(上記2のbに該当するものは除きます。)
b 中等度の対麻痺が認められるもの(上記1のd、2のcに該当するものは除きます。)

4.「脊髄症状のため、極めて軽易な労務のほかに服することができないもの」は第5級の1の2に該当します。
下記のものが後遺障害に該当します。

a 軽度の対麻痺が認められるもの
b 一下肢の高度の単麻痺が認められるもの

5.「脊髄症状のため、軽易な労務以外には服することができないもの」は第7級の3に該当します。一下肢の中等度の単麻痺が認められるものが後遺障害に該当します。

6.「通常の労務に服することはできるが、脊髄症状のため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」は第9級の7の2に該当します。一下肢の軽度の単麻痺が認められるのが後遺障害に該当します。

7.「通常の労務に服することはできるが、脊髄症状のため、多少の障害を残すもの」は、第12級の12に該当します。また、運動障害は認められないが、広範囲にわたる感覚障害が認められるものも後遺障害等級に該当します。

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  1. なお より:

    遅くなりましたが、返信ありがとうございました。

    現在も、痛みと痺れがあるため、薬を服用しています。

    このような状態は後遺障害の認定は12級は難しいのでしょうか?

  2. なお より:

    停車中に正面追突されました。
    相手は自賠責のみだったので、自分の人身傷害で通院しています。

    事故後に後縦靭帯骨化症と診断されましたが、このような場合後遺障害の認定は難しいでしょうか?

    • 戦略法務 より:

      後縦靭帯骨化症自体は交通事故との因果関係はありません。
      だからと言って、後遺障害が認定されないという事はなく、14級であれば支障なく認定されます。

  3. さいん より:

    脊髄等の中枢神経の麻痺を改善する薬と鎮痛作用の薬、抹消神経の薬、自立神経の薬、気持ちを楽にして意欲を高める薬、胃潰瘍等の薬、睡眠導入剤・・を二年以上飲み続けています。こういう状況下での認定は難しいのでしょうか? ちなみに簡単な短時間の仕事しかできません。特に記憶を重視するような仕事と肉体労働などはできません。

    • 戦略法務 より:

      どういった傷病名で、それがいつ発症したのか、またどういった検査結果が出ているのか。

      これが判らないと認定については何とも言えませんので教えてください。