脳の後遺障害・身体性の機能障害(神経系統の障害)

脳の損傷による身体性機能障害については、麻痺の範囲(四肢麻痺、片麻痺及び単麻痺)及びその度合い(高度、中等度、軽度)並びに介護の有無及び度合いにより後遺障害等級を認定します。

麻痺の度合いにおいては、運動障害の度合いをもって判断します。ただし、麻痺のある四肢の運動障害(運動性・支持性・巧緻性・速度についての支障)がほぼ認められない時は、軽度の麻痺に含めず、第12級の12とします。

※麻痺の範囲や度合いについては、身体的所見・MRI・CTなどによって裏づけすることが必要です。

※四肢麻痺とは両側の麻痺、片麻痺とは一側上下肢の麻痺、対麻痺とは両下肢または両上肢の麻痺、単麻痺とは上肢または下肢の一肢のみの麻痺をいいます。

※脳の損傷による麻痺については、四肢麻痺、片麻痺、単麻痺が生じて、通常対麻痺が生じることはありません。

※麻痺には運動障害及び感覚障害があるが、脳損傷により運動障害が生じた時には通常運動障害の範囲に一致した感覚障害(感覚脱失または感覚鈍麻など)が随伴します。

麻痺の度合い

高度:障害ある上肢または下肢の運動性・支持性がほぼ失われて、障害のある上肢または下肢の基本動作ができないもの
以下高度の麻痺に当てはまります。

・完全強直またはこれに近い状態にあるもの

・上肢においては、三大関節及び5つの手指のいずれの関節も自動運動によって可動させることができないものまたはこれに近い状態のもの、随時運動の顕著な障害によって障害を残した一上肢では持ち上げて移動することができないもの

・下肢においては、三大関節のいずれも自動運動によって可動させることができないものまたはこれに近い状態のもの、随時運動の顕著な障害により一下肢の支持性及び随意的な運動性をほとんど失ったもの

中等度:障害のある上肢または下肢の運動性・支持性が相当程度失われ、障害のある上肢または下肢の基本動作にかなりの制限があるもの
以下中等度の麻痺に当てはまります。

・上肢のおいては、障害を残した一上肢では仕事に必要な軽量のもの(500g位)を持ち上げることができないものまたは障害を残した一上肢では文字を書くことができないもの

・下肢においては、障害を残した一下肢を有するために杖や硬性装具なしには階段を上がることができないもの、または障害を残した両下肢を有するため杖や硬性装具なしには歩行が困難であること

軽度:障害のある上肢または下肢の運動性・支持性が多少失われていて、障害のある上肢または下肢の基本動作を行う際の巧緻性および速度が相当程度失われたもの

以下軽度の麻痺に当てはまります。

・上肢においては、障害を残した一上肢では文字を書くことが困難なもの

・下肢においては、日常生活は概ね独歩だが、障害を残した一下肢を有するため不安定で転倒しやすく、速度も遅いものまたは障害を残した両下肢を有するため杖や硬性装具なしには階段を上がることができないもの

身体性機能障害については下記の基準により第1級~第12級の7段階で認定します。

A:身体性機能障害のため、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、常に他人の介護を要するものは第1級の3に当てはまります。
下記の場合も当てはまります。
1.高度の四肢麻痺が認められるもの
2.中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣などについて常時介護を要するもの
3.高度の片麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣などについて常時介護を要するもの

B:身体性機能障害のため、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、随時介護を要するものは第2級の2の2に当てはまります。下記の場合も当てはまります。
1.高度の片麻痺が認められるもの
2.中等度の四肢麻痺であり、食事・入浴・用便・更衣などについて随時介護を必要とするもの

C:生命維持に必要な身の回り処理の動作は可能であるが、身体性機能障害のため、労務に服することができないものは第3級の3に当てはまります。中等度の四肢麻痺が認められるものも含まれます。

D:身体性機能障害のため、きわめて軽易な労務のほか服することができないものは第5級の1の2に当てはまります。下記の場合も当てはまります。
1.軽度の四肢麻痺が認められるもの
2.中等度の片麻痺が認められるもの
3.高度の単麻痺が認められるもの

E:身体性機能障害のため、軽易な労務以外には服することができないものは第7級の3に当てはまります。下記の場合も当てはまります。
1.軽度の片麻痺が認められるもの
2.中等度の単麻痺が認められるもの

F:通常の労務に服することはできるが、身体性機能障害のため、社会通念上その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるものは第9級の7の2に当てはまります。また、軽度の単麻痺が認められるものも含まれます。

G:通常の労務に服することはできるが、身体性機能障害のため、多少の障害を残すものは第12級の12に当てはまります。また、運動性・支持性・巧緻性及び速度についての支障がほぼ認められない軽微な麻痺を残すものと運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるものも含まれます。

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