徒手筋力テスト(MMT)

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徒手筋力テスト(Manual Muscle Testing)とは、筋力を6段階に分けて評価するテストです。いわゆる神経学的テストの一つがこのMMTです。筋力を数値によって表し異常があれば筋力低下と診断されます。

これは、筋力の回復経過を判断するために有効です。しかし、筋力テストのみでは詐病ができるので、 交通事故の後遺症として筋力テストの結果のみでは「明らかな所見」とはなりません。しかし、後遺障害とされる症状の原因部位次第では「特定の部位に筋力低下が生じているのが当然」つまり、他の医学的所見と医学的整合性が求められる事もあります。

筋力低下がなければそれが原因で等級が認定されないこともあります。例えば、C5C6髄節(神経根)に損傷があれば三角筋と上腕二頭筋に筋力の低下が生じるのが医学的整合性のある神経学的所見のところ、「筋力正常」という検査結果がでれば、認定等級に影響を与える事になります。もっとも、1つの筋は複数の神経からの支配を受けているのが一般的なので、1つの神経に障害を受けたとしても、その影響は限られている(C5C6髄節損傷)とされています。

MMT

MMT 0:筋肉の収縮が認められない
MMT 1:筋肉の収縮は認められるが動かない。
MMT 2:重力を無視すれば自由に動かすことが出来る。
MMT 3:重力に抵抗して自由に動かすことが出来る。
MMT 4:ある程度抵抗を加えても完全に動かすことが出来る。
MMT 5:強い抵抗を加えても完全に動かすことが出来る。

数字の中間と判断された場合には、「MMT3+」「MMT2+」、 「MMT2-」 と表す場合もあります。

MMTは詐病が可能なことから、MMT2と診断されても後遺障害認定実務では参考程度にとどまりますが、軽視しすぎて逆にMMT5となると、後遺等級に悪影響があるので、被害者にとっては都合の悪いのがこのMMTで、これは先ほど述べました。

例えば、自覚症状として「右手痺れ、日常生活で使用できず」と診察されているのにも関わらず、MMTが5と診断されていた場合、後遺障害の調査をする自賠責調査事務所では「信憑性なし」と判断されて後遺障害の等級非該当となります。

MMTが4以下の場合では、その原因を医学的、他覚的にはっきりさせなければ、認定実務では無視をされてしまいます。そこで、上位等級の認定を得るためには、筋力低下を医学的に立証するには電気生理学的検査を受けることになります。

MMTの検査方法

患者は図の丸を支点にして青の矢印の方向に力を入れます。MMTの数値を計る方は赤い矢印の方向に力を入れて筋力を測定します。
大胸筋の筋力テスト
三角筋の筋力テスト
棘上筋の筋力テスト
棘下筋と小円筋のテスト"

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  1. ひろ より:

    昨年8月に仕事中に高速道路を走行中、居眠りで自損事故を起こしました。

    35日入院後、自宅近くの病院へ転院し、20日間リハビリ入院をして、今年3月まで通院していましたが、症状が改善しないので、医者からそろそろ終わりにしましょうとのことで自動車保険の後遺障害診断書と労災の後遺障害診断書を書いてもらいました。

    後遺障害認定について軽く考えていたので事前にドクターに現在の状態等うまく伝えられずに診断書を受け取ってしまいました。
    自動車保険の方は提出してしまいましたが、結果、経過は、左下垂足が残存しているとだけ書いたありました。
    障害の状態の欄には
    前脛骨筋3-
    長母し伸筋3+
    長母し伸筋3+
    長ひこつ筋3-
    と残存しているとだけ書いてあります。

    いろいろ調べていて不安になってきたのでご質問させていただきました。

    このような内容で認定が取れるものなのでしょうか?
    よろしくお願いいたします。

    • 戦略法務 より:

      MMTの低下がありますね。筋萎縮はどうでしょう。
      傷病名はどうなっているのでしょうか。
      MRIは撮影したのでしょうか。