後遺障害診断書の書き方は重要?

戦略テクニック

後遺障害診断書書き方はどのくらい重要なのか。その内容によって、後遺障害の等級は変わるのか?

こういった質問に結論から答えると、「ケースバイケースです」という答えになります。

まず、後遺障害の申請で提出が必須で重要な書類を3つあげると、後遺障害診断書と経過診断書と診療報酬明細書です。(この他にも必要書類はあります)

後遺障害診断書と重要書類

後遺障害診断書は症状固定時に作成するものですが、経過診断書と診療報酬明細書とは、保険会社が病院に治療費を直接支払っている場合は、原則として毎月医療機関から保険会社に直接送付されています。一般的に被害者がこれを見る事はありません。

しかし、後遺障害の審査では、これら経過診断書と診療報酬明細書の書類は自賠責の調査事務所に提出され、後遺障害診断書と同じく等級を審査する上で、大変重要になっています。したがって、これらの保険会社等が持っている診断書や診療報酬明細書を確認しない状態で、後遺障害診断書の中身を作り上げたとしても出来あがった後遺障害診断書は、後遺障害で一番大切とも言える「一貫性と整合性」に欠ける書類となってしまい、等級に悪影響を与えることになります。(自賠責が行う書類審査で正しい等級の判断ができなくなる)

後遺障害診断書の書き方

経過診断書と診療報酬明細書の書き方が等級に与える影響度は、受傷の内容・症状によって異なるので「ケースバイケース」となりますが、後遺障害診断書の書き方は、書類上で確認できる受傷時から症状固定時までの経過を前提に作り上げていくのがベストです。つまり、良い後遺障害診断書を作成するには経過診断書と診療報酬明細書を確認する事が必要で、確認をしなければ後遺障害診断書のより良い書き方はわからないということです。

後遺障害診断書を作成する医師

後遺障害診断書は医師免許を持っている者であれば誰でも作成することができます。しかし、後遺障害の申請で必要とされる後遺障害診断書は、後遺障害診断書の内容に信ぴょう性を出すことができる医師です。

後遺障害診断書は殆どの場合、患者の症状に一番詳しい主治医という立場である医師によって作成される事になりますが、複数の病院に同時通院をしている場合、転院を繰り返し行なっている場合などは、その時々の状況に応じた臨機応変な対応が必要となります。もちろん、後遺障害診断書を複数枚(複数の医師に作成を依頼)作成することも有ります。

後遺障害診断書だけが重要ではない

確かに、後遺障害診断書の書き方は重要です。ただし、その作成は、経過診断書・診療報酬明細書も重要であることは説明しました。そして、さらにその他の自覚症状、検査画像(レントゲン、CT、MRI)、各検査結果などを総合的に考慮した上で、自賠責の考える後遺障害の認定基準と照らし合わせてつつ内容を考える必要があります。

例えば、経過診断書が極めて簡単に書かれていれば、それを補足する追加資料を作成し被害者請求の時に提出します。これは主に、後遺障害に重要な”一貫性”を説明するためです。

後遺障害は書類上だけでの審査なので、”書類による伝え方”つまり、診断書の書き方を誤ると、等級も誤ったものになります。後遺障害診断書に書かれる自覚症状ひとつ、その表現方法を間違えると等級が認定されないことも多いのです。

事故発生状況の説明

後遺障害の審査で重要な書類については、後遺障害診断書と経過診断書と診療報酬明細書の3つあると説明しました。

ここではさらに4つ目の重要な書類である事故発生状況報告書について簡単に触れておきます。

事故発生状況報告書とは。事故の発生状況を図と文章で説明するA4サイズの用紙です。主に過失の有無を判断するために必要ですが、後遺障害では「本当にこの事故発生状況でこの後遺障害は残存するのか?」といった事も考慮されます。

時には事故発生状況報告書に追加して数枚の「事故発生状況状況補足」を添付して後遺障害の申請を行います。事故の衝撃の強さや外力の伝わり方を書類にして、事故と残った症状(後遺症)との相当性を説明します。

このページでのコメント、FAQ(無料) 無料でご利用いただけます。匿名可

  1. ジョーカー より:

    自賠責保険会社への被害者請求(直接請求)の手段として郵送ではなく直に自賠責保険会社へ出向いての資料提出も可能でしょうか?

    • 戦略法務 より:

      行ったことはありませんが、パンフレットには郵送でのみ受け付けるとの記載もない事から可能だともいます。

  2. ジョーカー より:

    交通事故被害者ですがこの度自賠責保険会社へ後遺障害の事前認定を自ら請求(被害者請求)する形を取る予定です。そこで、入通院した病院からレントゲン写真を借り出し自分で送付するつもりですがレントゲン写真は初診&終診時のみの分でも平気かそれとも入通院時に撮影された全ての分を送付した方が無難又は有利でしょうか?又、レントゲン写真&診断書以外にも送付すべき材料は有りますか(必要ですか)?因みに自賠責の方で認定又は査定が済んだ後は(レントゲン写真等を)自宅か病院のどちらに返還されるのでしょうか?全く法律に疎い身なので何卒アドバイスの返答を宜しくお願いします!

    • 戦略法務 より:

      原則として最初と最後のレントゲンは必要です。途中のレントゲンはケースバイケースです。画像は被害者に返却されます。

      「レントゲン写真&診断書以外にも送付すべき材料」とのことですが、これについては被害者請求なので何でも提出することが出来ます。何を提出するかは案件ごとに異なります。

  3. 人身事故 より:

    14級9号という等級認定という書類がきましたが。
    どうやれは級号を上げれますか?
    異議申し立てをしたほうがいいのですか?
    どうなるか教えて下さい!

  4. S.K より:

    去年息子がバイクで事故に遭い、顔面の頬骨辺りにキズが残りました。大きさは横2センチ、縦1センチで少し盛り上がり色も赤黒く変色しています。後遺症害の申請をしましたが認定されず、異議申し立てをしています。

    • 戦略法務 より:

      お知らせいただいた傷のサイズに該当する後遺障害の等級は存在しません。

  5. 平井 より:

    去年の9月末に自転車と自動車との接触事故にあい、私は自転車だったのですがその際左足の内側の甲を筋肉辺りまで切ってしまい縫合しました。その時に神経も切断されたらしく足の麻痺や痺れがありました。足の縫合があったので形成外科を受診していたのですが2ヶ月後ぐらいに足首の痛みもひかず同病院の整形外科を受診しましたが炎症はあるがわからないということで様子見の状態が続きました。今年の2月になり受診した際に形成外科の先生に相談したところ症状固定の話があり保険会社から病院に用紙を送付してもらいましたが認定されるのかわかりません。現在もちょっと長く歩くと足首が痛くひどいときは歩けなくなるほどです。体重移動をしながら通常も歩いている状態です。もちろん正座などはかなり厳しいです。傷痕の辺りにはシャワーを浴びたらシャワーの水一滴一滴が当たる度に痛いときがあります。MRI等の科学的立証ができなくても認定されるのでしょうか?

    • 行政書士 笠原 より:

      現状では明らかに立証不足です。適正な等級が認定されないと思われます。症状固定前にいくつかの検査によって症状の裏付けをしなければなりません。神経内科なども考えたほうが良いです。

  6. さと より:

    23年9月に追突事故に遭い今月で症状固定となるので通院している整形では後遺障害の診断書を書くと言っています。頚椎捻挫で今現在、左手は痺れと握れない状態のままです。耳鼻科では嗅覚障害と味覚障害で後遺障害で診断書を書けると言われてます。しかし相手の保険会社の担当から自分で請求は無理じゃないかと言われました。請求に相手の保険会社の承認が居るのでしょうか?
    私が損保の仕事をしていた時には聞いた事がないです。
    何か制度が変わったのでしょうか?

    • 行政書士 笠原 より:

      損保会社の一括対応から被害者請求で後遺障害の申請を行うという流れは、ここ最近インターネットが普及するにつれて知られるようになってきました。今でもこれを知らない任意保険の担当者も存在します。制度というか、後遺障害の申請を本人で行うというのは自賠法16条に基づき昔からできた話です。特に制度が変わったという訳ではありません。