診断書で「治ゆ」とされたとしても後遺障害は認定されます。
例えば、保険会社用・自賠責用の経過診断書には、
治ゆ
継続
転医
中止
死亡
とあらかじめ書かれているところがあります。医師は、毎回この中から1つを選んでマルを付けることになっています。
交通事故に遭い、治療を続けて症状固定となり、後遺障害診断書が発行されているにも関わらず、経過診断書では「治ゆ」とされていることがあります。一般的に治癒といえば、完治したことを意味するので「後遺障害の等級が認定されないのではないか?」という不安が生じるのは当然です。
しかし、後遺障害の認定基準では「負傷や疾病の状態が症状固定(治ゆ)に至った時に、身体の一部に障害が残った場合」に後遺障害と認定するとされています。他にも、後遺症を「治ったときに残存する当該傷病」と定義するなど、治癒という言葉が完治という意味でないことを説明しています。つまり、診断書上で治ゆとされていても、「後遺障害には該当する」ということになり、その等級には影響を与えない事になっています。
ただし、総合的に考えて、治癒とされていることが、明らかに寛解(かんかい・症状が好転または、ほぼ消失)している事を示していると考えられる場合は、この治癒という診断を理由にして自賠責は「後遺障害に該当しない」と判断します。
資料の一切を総合的に踏まえて、診断書にある「治ゆ」が「完治」でない事を示すのか、それとも寛解や緩解などを示すものなのか、前者であれば、治癒と書かれていても全く問題はありませんが、後者であれば診断書の訂正をしなければ等級の対象外の症状となります。
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